住宅ローンの基礎知識
ひと言で住宅ローンと言ってもいろいろなタイプがあって、どの金利タイプを選ぶかによって長期にわたり生活に大きくかかわってきます。ここでは住宅ローンの基礎を理解していただき後悔しない住宅ローンの選び方をお伝えします。
金利の差
金利は低いほど当然支払額が少なくて済みます。
例えば、2500万円を1%で借りた場合と2%で借りた場合では35年返済(元利均等払い)で約514万の差が出ます。
借入金2500万円を35年返済・元利均等払い・ボーナス払いなし
金利 | 毎月返済額 | 総金利額 | 総支払額 |
1% | 70,571円 | 4,639,998円 | 29,639,998円 |
1.5% | 76,546円 | 7,149,366円 | 32,149,366円 |
2% | 82,815円 | 9,782,590円 | 34,782,590円 |

金利1%の違いで、35年間支払い続けるとなんと約514万円も支払総額に差が出てきます。
金利の決定時期
また、住宅ローンの金利が適用されるのは金融機関によって差がありますので未完成の物件や引渡が先の物件を検討される場合は借入希望の銀行はいつのタイミングで借入金利が決まるのかをしっかりと確認する必要があります。
金融機関名 | 三菱東京UFJ銀行 | 大垣共立銀行 | 東濃信用金庫 | ろうきん | フラット35 |
金利適用時期 | 融資実行日 | 融資実行日 | 事前承認または融資実行日 | 本審査承認時または融資実行日 | 融資実行日 |
上記は平成28年5月現在
金利の種類
住宅ローンの金利は大きく分けて3つの金利パターンがあります。
〇変動金利
〇完全固定金利
〇固定期間選択型
どの金利を選択するかで支払いが大きく変わってきます。
変動金利
変動金利のポイント
①多くの金融機関では半年に一度金利の見直しがある。(金融機関によっては毎月見直しの場合もあります)
②返済額は、5年間変わらず支払額の内訳(金利と元金)の割合が変わっていきます。(金融機関によっては毎月支払額が変わる場合があります)
③金利の上昇により5年後支払額の見直しを行う場合でも現在支払っている額の1.25倍までしか支払額は増えません。(25%ルール)
例)現在変動金利で毎月7万円を返済している場合、借入5年後の見直し時に金利が倍になっていても支払額は87,500円が上限になります。但し支払額の内金利が占める割合が大きくなりますので決して得してるわけではありません。
④変動金利から固定金利へは好きな時に切り替えが出来ます。
⑤一般的に固定金利より金利が低く設定されています。
完全固定金利
完全固定金利のポイント
①借入時に返済総額(元金+金利)が確定され、毎月の返済額も完済まで一定額に設定されます。
②借入期間中には原則変動金利への変更はできません。(他銀行への借り換え時は除く)
③一括繰り上げ返済時に、金融機関によっては返済手数料や違約金が発生する場合があります。
固定期間選択型
固定金利選択型のポイント
①金融機関により1年・3年・5年・10年等期間を区切って金利を固定することが出来ます。
②固定期間中は、返済額(金利+元金)の変動はありません。
③固定期間終了後、変動金利又は固定金利を再選択します。(選択しない場合、自動的に変動金利に切り替わる金融機関が多いです)
④固定期間中は変動金利への変更は原則出来ません。(他銀行への借り換えは除く)
⑤固定期間終了時、急激に金利が上昇している場合などは返済額が大幅に増える可能性があります。
取扱商品(平成28年5月現在)
三菱東京UFJ銀行 | 大垣共立銀行 | 東濃信用金庫 | ろうきん | フラット35 | |
変動金利 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | × |
1年固定 | ◎ | × | × | × | ◎ |
2年固定 | ◎ | × | × | × | ◎ |
3年固定 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
5年固定 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
7年固定 | ◎ | × | × | × | ◎ |
10年固定 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
15年固定 | ◎ | × | × | × | ◎ |
20年固定 | ◎ | × | × | × | ◎ |
25年固定 | ◎ | × | × | × | ◎ |
35年固定 | ◎ | × | × | ◎ | ◎ |
備考 | 新規借入時のみ21年から35年の固定期間を選択できます | フラット35の取り扱い有り | フラット35の取り扱い有り | 1年単位で固定期間を設定できます。 |
賢い住宅ローンの借り方

いざ金利タイプを選ぶとき
・今後金利は上がるのか、下がるのか・・・
・固定で借りてしまうと変動に切り替えられないし・・・
・繰り上げ返済を出来たらしたい・・・
などなど金利タイプを決めるのは非常に難しいことです。
そこでお客様にこのような提案をすることがあります。
それは、仮に2,500万円の住宅ローンを組むときに2,500万円を1本で借りるのではなく、例えば1,000万円と1,500万円を分けて住宅ローンを組む方法があります。
そうすれば、1,000万円分は長期固定金利、1,500万円分は変動金利というようにいろいろなパターンの金利を選択することが出来ます。その場合、金融機関によっては手数料や登記費用などの諸費用が掛かる場合がありますが、金利負担を考えればすぐに元が取れる方法ですのでお勧めです。
但し、金融機関によっては1本でしか組めない場合等があったり、逆に3本、4本に分けて借りられる金融機関等いろいろありますのでご興味がある方はぜひ当社スタッフまでご相談ください。
団体信用生命保険
住宅ローン返済中に万が一、けがや病気で死亡したり特定の病気により住宅ローンの返済が出来なくなった場合に保証してくれる保険です。
住宅ローンを組む場合、団体信用生命保険(団信)の加入を条件にしている金融機関がほとんどです。病気等で団信に加入することが出来ない場合、住宅ローンを借りることが出来ません。
加入条件
団信の加入には年齢制限があります。年齢制限は金融機関によって違います。(保険の内容によって年齢制限は、50歳までから70歳までと金融機関によってバラバラです。)
加入時には告知書をご記入いただき、告知内容に問題があると加入することが出来ません。
一般的な生命保険と違い健康診断等は必要なく告知のみの審査になります。
金融機関によっては団信の緩和型(若干病気等をしていても入れる保険)を用意しているところもありますので、健康面で心配のある方はスタッフまでご相談ください。
またフラット35は団信への加入は任意になります。
加入費用
団体信用生命保険(団信)の費用は、住宅ローンの金利に含まれていることがほとんどですので、基本的には保険料は不要です。
但し、フラット35を利用する場合は加入が任意の為、借入残高が1000万円あたり年間35,000円程度の保険料が必要です。仮に2,500万円借り入れをした場合、初年度は約89,500円の保険料が必要です。(3大疾病等は不担保、通常の団信の金額です)
借入金金融機関を選ぶ場合には、団信の費用も計算に入れて検討することが大切です。
保障内容
通常の団信の場合、どこの金融機関で加入してもほとんど内容は同じです。
死亡や高度障害時には、住宅ローンの残金が保険会社から支払われます。
最近では、いろいろな金融機関が独自の団体信用生命保険を取り扱うようになってきてがん、3大疾病、7大疾病等の場合でも保証が受けられる保険に入れるようになってきました。
但しどこの金融機関も、通常の保障以上の保険に加入しようと思うと金利が高くなりますので、団信で保障を厚くしたほうが得か、一般の生命保険で保障を厚くしたほうが得か検討が必要になります。
金融機関別団体信用生命保険(平成28年5月現在)
三菱東京UFJ銀行 | 大垣共立銀行 | 東濃信用金庫 | ろうきん | フラット35 | |
死亡 | 団信にて保障 | 団信にて保障 | 団信にて保障 | 団信にて保障 | 任意加入 |
高度障害 | 団信にて保障 | 団信にて保障 | 団信にて保障 | 団信にて保障 | 任意加入 |
がんのみ | 金利0.1%UP | 金利0.1%UP | |||
3大疾病(がんを含む) | 金利0.2%UP | 金利0.25%UP | 金利0.3%UP | ||
重度慢性疾患 | 金利0.2%UP | ||||
7大疾病 | 金利0.3%UP | ||||
緩和型の取り扱い | あり | あり |
団体信用生命保険のメリット

団信のメリットは、万が一の時、残された家族に住宅ローンを残さずに住居を残すことが出来るということです。
そして保険料はほとんどの金融機関が金利に含まれているため費用負担が少なく保険に加入することが出来ます。
よくお客様から「賃貸が得か?持ち家が得か?」というご質問をいただきます。そんな時、当社では、賃貸にはない持ち家の大きなメリットは団信だとお話しします。
持ち家で住宅ローンがない方には関係ない話ですが、賃貸住まいの方が仮に65歳や70歳でご主人様に万が一のことがあった場合、収入は年金のみで年齢が60歳を超えていると現在では契約を継承してもらえなかったり、引っ越すにしてもなかなか思うような賃貸住宅を貸してもらえなかったり苦労するという話をよく耳にします。
それを考えると、持ち家を住宅ローンで購入された場合、ご主人様に万が一のことがあっても残されたご家族の方は住むところに困るということはありません。